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笑顔・睡眠・食事・運動を意識して過ごそう

笑顔・睡眠・食事・運動を意識して過ごそう

双子

聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター

胎盤の数は一つであるとは限らない! 分裂の時期によって一つだったり二つだったり。
胎盤の数
一人の赤ちゃんは必ず2重の膜に包まれてる(絨毛膜と羊膜)。二卵性双胎ではそれぞれの赤ちゃんが2枚ずつ膜を持つので、必ず2絨毛膜2羊膜双胎(DD双胎)になる。一卵性では、二人に分裂する時期により膜のパターンが異なり。受精後3日以内ならDD双胎、4~7日なら1絨毛膜2羊膜双胎(MD双胎)、8~12日なら1絨毛膜1羊膜双胎(MM双胎)となる。つまり、MD双胎やMM双胎なら必ず一卵性ですが、DD双胎なら一卵性の可能性も二卵性の可能性もある。

双胎のリスクは、卵性(一卵性か二卵性か)で決まるわけではなく、膜性(DDかMDかMMか)で決まるので、妊娠初期(10週前後が一番良い)に膜性診断をきちんと行うことが大切。


膜性診断

1絨毛膜双胎のリスク
2絨毛膜双胎であれば、一卵性・二卵性にかかわらず早産予防を中心に妊娠経過をみていくことになるが、1絨毛膜双胎には、1絨毛膜双胎にしかおきないリスクがある、より注意が必要(怖がる必要はあいが慎重にみていきこう!)。
双胎間輸血症候群(TTTS)は1絨毛膜双胎の約10-15%に起こる可能性があり。1絨毛膜2羊膜双胎と診断されたら、最低でも2週間毎に健診を行い、赤ちゃんの大きさ、膀胱の大きさ、羊水の量、心機能(胎児血流など)をよく見ていきます。少しでも差が認め始めたら検診の間隔を短くして注意深く観察していく。
TTTSではない(羊水過多・過少を認めない)が、二人の発育に差が出てくることもしばしばあり。正常範囲の羊水量であり、血流異常が無く、発育差はあるもののどちらの赤ちゃんもそれなりに発育していけば大きな問題となることはない(兄弟姉妹でも完全に同じ体重で生まれてくることはないよね)。しかし、一人のお子さんが極端に小さい場合や体重差が25%以上となってきた場合は、より慎重な管理が必要になる。
TTTSになりかけている状態や、発育の差が著しい場合は状況に応じて入院治療が必要になることも。
 
双胎間輸血症候群
双胎間輸血症候群(Twin-twin transfusion syndrome:以下TTTS)は双胎妊娠の中でも一卵性(一絨毛膜双胎)にのみ起こる特殊な病態。 1絨毛膜双胎は一つの胎盤を共有しており、必ず数本(通常は7-8本)の吻合血管(つながっている血管)が存在する。通常はふたりの間の血液の流れは吻合血管を通じてバランスをとっているため、血液がふたりの間を行ったり来たりしても問題が起きることはありません(もともとは同じ血液です)。しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れて全体として一方通行になったときにTTTSが発症します。1絨毛膜双胎の10%程度に発症する可能性があり。

供血児(血液を送り出している赤ちゃん)は、いわゆる貧血の状態となり、全身の循環血液量不足から低血圧、乏尿(腎臓への血液量が少なくなり尿を作れなくなる)、羊水過少(羊水はほとんどは赤ちゃんの尿なので尿量が減少すれば羊水が減少する)となる。赤ちゃんの発育も制限され子宮内胎児発育遅延(IUGR: intrauterine growth restriction)となる。この状態は悪循環となり最終的には腎不全および循環不全から胎児死亡。一方、受血児(血液を余分にもらっている赤ちゃん)は、多血の状態で常に循環血液量が多い状態のため高血圧の状態となり心臓に負担がかかる。そのため、尿を多く出す(多尿)ことにより少しでも循環血液量を減少させようとどんどん多尿となり、それに応じて急激に羊水過多が進行。この状態も赤ちゃんのホルモンの影響で悪循環が進み。また、産生さる尿は薄いため受血液は浸透圧が高く(濃い)、胎盤を通じてお母さんから水分を引き込んでくることも悪化の一因となる(母体は急激な子宮の増大と脱水傾向により非常にのどが渇くようになる)。この状態も長く続くと赤ちゃんの心臓に非常に負担がかかり最終的に心不全から胎児水腫(全身がむくんだり、胸水や腹水がたまる)となり胎児死亡。

TTTSはどちらか一人の赤ちゃんの病気ではなく、どちらの赤ちゃんも状態が悪くなることが特徴。

双胎間輸血症候群の進行
正常な羊水量→羊水量に差が出始める→羊水過多・過少→stuck(真空パック様)

双胎における神経学的後遺症のリスク
双胎妊娠に限らず未熟児で出産したり分娩時の低酸素症やもともとの赤ちゃんの病気などで、神経学的な後遺症を残す可能性はどんな妊娠にも存在する。当然、未熟児で生まれた子(特に非常に早い週数で生まれた子)や分娩時の低酸素症などがあればそれだけリスクは増大す。ふたごだからといって大きく変わることはない。ふたごの場合はひとりの妊娠の場合にくらべて早産や低出生体重児(小さく産まれること)の確率が高くなるので全体としては割合は増加する。同じ条件(同じ週数や体重など)でのリスクはほとんど変わらないと考えられる。そのため、双胎妊娠においては早産を予防すること(もしくは同じ早産でもできるだけ週数が遅く、いい状態での出産を目指す)でリスクを下げることができ。また、1絨毛膜双胎では、TTTSや一児死亡を防ぎ、万が一の場合でも適切な管理治療を行うことでリスクを下げることが可能。

*妊娠20週から26週前後(妊娠6ヶ月前後)は「安定期」と思っていませんか? 

赤ちゃん(胎児)にとっては、一番「不安定で危ない時期」ですね! お母さんにとってみると(特に一人の妊娠では)、妊娠初期の悪阻もようやく治まって楽になり、まだお腹も大きくないので自分自身が身軽な時期です。そう!「お母さんが楽な時期」なんだね。

*赤ちゃんのことを考えたら、本当の安定期(赤ちゃんの安定期)はいつでしょう? 多分、10ヶ月(36週以降)にはいって、いつ生まれても良くなった時期なんじゃないでしょうか。

*ふたごの場合、28週から30週位でお腹の大きさが臨月を超えることを思い出してください。そう考えると、22週から26週までの赤ちゃんにとって一番不安的な時期の子宮の大きさは?

 想像してください! 一人のお子さんの場合にちょっと早く生まれてしまうかもしれない時期、既に産休に入っている時期、そう妊娠9ヶ月(32週以降)の大きさ。この時期を一番注意してね。

22wからが戦いだよー。

流早産、分娩の始まりの症状は以下の4つ。
1)子宮口が開大する。
2)子宮収縮(陣痛)がある。
3)破水する。
4)おしるし(出血)がある。
破水と出血は通常は単独でくることよりも子宮収縮や子宮口の開大にともなって引き起こされることがほとんど、通常は「子宮口の状態」と「子宮収縮(お腹のはり)」に注意していくことで早産を防ぐことが可能。

通常子宮の出口(頚管)はしっかりと閉じており、ある程度の長さ(3-4cm)を持って子宮口が開くのを防いでいる。分娩か近づいてくると、子宮が大きくなり重さに耐えきれなくなったり子宮収縮により圧力が子宮口にかかったりして、徐々に子宮口が開いてきます。また、頚管が柔らかくなることでよりスムーズなお産となるように準備します。
つまり、頚管が短くなってきたり、中(内子宮口)から開いてきたり、頚管が柔らかくなったら、それはお産の準備が始まっている証拠! そのため、健診の時に子宮口や頚管の状態に注目してみていく。

正常な状態では内子宮口はしっかり閉じており、頚管長は3-4cmの長さがある

頚管長が25mm以下となったり、内子宮口が開大してきたら(お産の準備ができはじめている妊娠34週以降の状態)要注意!
また、頚管長が十分の長さがあっても、細菌感染や炎症があると子宮口は柔らかくなってきて子宮自体の重みや軽度の子宮収縮に耐えられなくなるので、子宮頚管や膣内の感染や炎症のチェックも大切。おりもの(帯下)の量が極端に増えたり、色がいつもと違って黄色みを増したり、出血が混じっていたり、外陰部にかゆみがあったりしたら要注意。

頚管長
頚管長30-40mm→頚管短縮(<25mm)→内子宮口開大→内子宮口開大進行

頚管縫縮術は必要?
子宮口が開いてこないように妊娠12~14週前後に子宮の出口(頚管)をしばる(縫縮)する手術を頚管縫縮術をする。現在この手術は双胎妊娠という理由だけで予防的に行うことによるメリット(早産予防や入院期間の短縮など)はないと考えられてる。聖隷浜松病院総合周産期母子医療センターでは以前は双胎妊娠に積極的に予防的頚管縫縮術を行った時代もありましたが、その後の検討により予防的に頚管縫縮術を行った群と行わなかった群を比較しても、妊娠経過や早産、入院期間などに差を認めなかったので、2000年からは産科的に治療として必要な妊婦(頚管無力症や頚管の手術を行った人など)を除いて予防的に頚管縫縮術を行うことを中止。しかし、それにより早産が増えていることはなく、それよりも妊娠中の生活の質を改善することにより早産は減ってきている。
 
安静にしていれば早産は予防できるの?
「ふたごは早産が多いから安静にして気をつけてね」といわれることも多いと思います。また、私たちもつい使ってしまう言葉です。では、「安静」ってなんでしょう? たいていの人は「安静にしてね」と言われると、寝ている人がほとんどです。つまり「安静」=「寝ている」という発想。決して間違いではないのですが、ちょっと考えてみて。何のために「安静」にするのでしょう? 早産を予防するためです。では、どうなれば早産の危険があるのでしょう。そう、子宮収縮があるときですね。つまり、早産を防ぐためには子宮収縮ができるだけ無い状態でいることが大切。


よく、お腹が張っているのかどうかわからない、子宮収縮がよくわからないという妊婦から質問あり。ゆったりしたときに直接お腹を両手で触ってみてください。柔らかい子宮が触れますよね。これが、正常の子宮。空気がパンパンに入ったビーチボールみたいに硬くなっていてら要注意。これがいわゆるモお腹のはり(子宮収縮)モです。まして、痛みを伴ったりカチカチに石のようになっていたら大変。気がつかないから大丈夫なわけではない。お母さんが注意して感じてあげないと(さわってあげないと)知らないうちの子宮が収縮していることがあるから気をつけて。

つまり、早産を防ぐには、安静にしているから大丈夫なのではなく、常に子宮の柔らかさを感じてあげて、子宮が収縮しないようにゆったりとした生活をすることが大事。いくら安静にして寝ている時間を多くしても、空いた時間にまとめて色々なことをパタパタをやってしまってはかえって子宮に負担をかけていることが多いため注意が必要。一つ一つの動作をゆっくりのんびり行い、全体に通常の6割から7割程度の気持ちで生活すれば子宮に対して十分気をつけた生活ができる。妊娠中からお腹の赤ちゃんにあわせた生活を送ってね!
 
妊娠中の運動はいつからすればいいの?どれくらいなら大丈夫?
妊娠中の運動は何のためにするのでしょうか。安産のため? 運動不足の解消? 太らないため? みんな違います。そもそも、本当に妊娠中に運動が必要なのでしょうか?

運動をするなとは言いわないが、昔の人もどこの国の人も妊娠してから今まで以上に運動を始めたわけではないよね。普段から、お散歩や運動の習慣のある人が、妊娠中に赤ちゃんのペースにあわせて普段よりゆったりと運動をすることは決して悪いわけではありませんが、全く何も運動していなかった人が、妊娠したからといって、いきなりお散歩を始めたり、マタニティースイミングを始めたりすることが本当にいいのでしょうか?
妊娠中の運動は、あくまでお母さん(妊婦さん)の気分転換。普段やっていないことを始めるときには自分のペースではなく、お腹の赤ちゃんのペースにあわせて動いて。よちよち歩きのお子さんを連れて自分のペースで連れ回さないよね。生まれたての赤ちゃんよりも年下の、ましてお母さんより遥かに年下のお子さん(胎児)をつれているわけだから、ゆったりとお腹に負担をかけずに動くことを心がけて。つまり、子宮が収縮しなければ特に運動の制限はしませんが、子宮が収縮したらお母さんには負担ではなくてもお腹の赤ちゃんに負担をかけているんだと思って動いて。
 
子宮収縮抑制剤(はり止めのお薬)はいつから飲むの?
子宮口がしっかりとしていて、子宮収縮も問題なければ基本的には予防的にお薬(はり止め)を飲む必要はないと考えられる。そうはいっても、ふたごでは通常の妊娠(単胎)に比べて子宮の大きくなるスピードは2倍ですから、ちょっとしたことでも子宮は収縮しやすい状態になる。状況に応じて(子宮の柔らかさ、子宮収縮の状態、子宮口の状態など)違いますが、20週前後からはり止めのお薬を飲むようになる人が多い。

 

 
 
 


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